お見合いだけど、恋することからはじめよう
「……だけど、腑に落ちないなぁ。
あの冷静沈着な島村室長が、だれかの気に障るような言葉を口にするなんて」
「気に触るなんてもんじゃないよー。
聞いてるこっちが凍りつくような、かなり皮肉めいた辛辣なことを言うんだよ?」
……うーん、やっぱり、ちょっと、まだ信じられないんだけど。
「しかも、相手もさすが弁護士、まったくヘコむことなく、返す刀で雪女のように口からブリザードを吐き出してるよ」
……ひええぇっ、それは極寒にもなるわな。
すると突然、友佳がむくっ、と起き上がった。
「だれにも言っちゃダメだよ。あのね……」
友佳のひそひそ声に、知らず識らず耳を寄せる。
「島村室長と光彩先生とは、大学で同級生だったうちの部の主任に聞いたんだけどさ」