お見合いだけど、恋することからはじめよう
❸
スペインバルを出たあと、青山通りでタクシーを捕まえる。後部座席のドアが開き、先に友佳を放り込む。
「……じゃあ、青山、今日はごちそうさま」
結局、青山がすべて奢ってくれた。
……ま、ヤツは院卒な上に、すでに「主任」だから、あたしたちよりもずっと高給取りだけどね。
「……水野」
乗り込もうとするあたしの背中に、青山の声がかかる。
「気晴らしになるかと思って来てみたけど」
さすがの青山も、同じ部署内での二股には懲りたか?
「たまには、このあとラブホに連れ込む必要のない女と呑んでもおもしろいな」
……あぁ、やっぱ、ムカつくヤツっ!