現実は甘くないっ！

始まらない青春物語

「本当におひとりで行かれてしまうのですか…!?」




「ええ……私、決めたんだから！」





「そんな……!是非、私も連れて行ってください……!!」





「ダメよ……私は一人で進むんだから…！」





自己紹介が遅れたわね、こんなRPGさながらの台詞から始まって何事かと思ったわよね。わかるわ。ちなみに一応言っておくけど、これはRPG物語ではないわ。私の高校生活青春物語よ。(まだ始まってはいないけれども)





あ、話がズレてしまったわね…




コホン、私はこの国の3本の指に入る大企業の社長の一人娘。名前は黒堂怜香(こくどうれいか)。しっかり覚えておくことね！



ちなみに、どうでも良いけどさっきから私が学校に行くのを遮ってくるクソ執事の名前は伊崎雪兎(いざきゆきと)。いい加減学校に行かなきゃ遅刻なのだけれど……






「いい加減、離しなさいよ雪兎!!学校に遅れるじゃない!!」





「そんなことをいっても無駄ですよ、第一なんで高校なんて行くんですか…？？お嬢様に勉強を教えて良いのは私だけなのに……」






……心無しか雪兎の周りに黒いオーラが見えるわね。
あと、私の腰にずっと腕を巻き付けるのはやめてほしいわね…暑苦しいわ





というか！

第一、初日から遅刻なんて冗談じゃない。
黒堂家たるもの、何事も完璧にこなさなくては。









異常な力でへばりついてくる雪兎をなんとか撒いて、私はこれから訪れるであろう明るい高校生活への第一歩を踏み出した――――――