一円玉の恋
「おー怖っ。まあ、上がって上がって。こっちがトイレでこっちが風呂場ね。そっちに空いた部屋があるから、どっちでもいいから使って。
俺はこっちに居るから。でも、俺の部屋には入らないでね。ま、適当にしてくれたらいいよ。今から、お風呂入れば。あー布団は客用のやつ持っていくからさ。それそのまんまあげるから。」

と、どんどん説明して行く。

またしても、口をあんぐり開けて聞いている。とんだ間抜け面だ。山神崇が「はっは変な顔」って言って笑ってる。「とりあえず、お風呂入って来なよ。」と促された。

お風呂場はジェットバスだーーぁ。夜景も眺めれる。
スゲェーよ。金持ちだよ。気持ちいいなぁ。
やっぱり、こんな生活してる人っているんだね。
テレビの中の世界だと思ってた。
銭湯もいいけど、こういうのって憧れはするよね。
逆立ちしても、こんな所になんて住めないなぁと考えると、落ち込む。
打倒格差社会だ!

それにしても、なんで山神崇は助けてくれたんだろう。
なんでだ。どちらかと言えば、目上の人にかなり失礼な態度を取りまくっている私。
自分が嫌われているとも気付いてるはず。
だから、ほっとかれてもいいはずだ。
あんな、端金は要らねぇと言ってるヤツが、生意気な貧乏人に情をかけるとは思わない。
何かある。絶対ある!なんだろう?

お風呂を上がり、部屋に行くと布団が敷いてあった。
あっ、ちょっと嬉しいかも。と、山神崇に礼を言わねばと思い。リビングに行った。
私が入って来た事に気付いた山神崇は、「水飲みなよ。」と冷蔵庫から出して、注いでくれた。
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