一円玉の恋
なんだ?この人。こんな事するんだ。と以外な行動にびっくりして、一円玉と崇さんを交互に見てしまった。

「なんだよ。だからーぁ。翠のおかげで改心したんだって、これ以上嫌われないようにって、人にも、物にも丁寧に生きようって、これはその戒めみたいなもんだよね。ふっふ。」

と何故か得意気に言ってくるので、

「の割には、結構横柄な態度とりますよね?」とすかさず突っ込むと、

「はあ!うるさいなぁ。そりゃあ三十年も同じ性格で生きてんのに、早々変われるかよ。いいの。とりあえず努力はするから。」

と言ってまた大事にしまい込む。

そして、「はい、握手。」と言って私の手を取り、「はい、仲良し。ずっとね。」と言って、繋いだまま歩いて行く。
ずっと。この先もずっとね。離れないし、離さないからね。翠も離れないでねと崇さんが微笑む。大丈夫、私も離れないし、離さない。そうずっとね。ずっと。



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