一円玉の恋
朝早く起きて、洗濯機を回し、朝食と山神崇の昼食と私のお弁当を用意する。

朝食を食べていると、山神崇が部屋から出てきた。
「おはようございます。」と一応挨拶をした。「おはよー。」と返してきたが、少し不機嫌そうな顔で私の向かいに座る。
「コーヒー入れて。」と頼まれたので、コーヒーを入れて、山神崇の前に置き、また座り直してモグモグとご飯を食べる。
今度は、「朝御飯食べたいから、用意して」と言ってきたので、用意してあったものを黙々と山神崇の前に並べて、自分の席に座った。
だが、何故か食べずにこちらにジッと視線を向けている。
ん?と不思議に思って顔を上げると、それを待っていたのか、山神崇が口を開いて、

「ねぇなんで、俺に声かけないの?普通、朝ご飯できましたよーって声、かけるよね。」

と意外な事を言ってきた。
山神崇からそんな言葉が出てくると思わなかった私は、思わず、

「えっ、声かけないとダメなんですか?起きてるのか、寝てるのか分からないんで、起こすのもなんか気を使うし。それに、べつに一緒に食べなくてもいいかなって思ったんで。」

と本来なら失礼な話しだが、つい本音を言ってしまった。
山神崇は深い溜息をついて、不機嫌そうに、
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