一円玉の恋
一円玉の旅行
あの、気付けば何故か山神さんに抱きしめられながら、ベッドで一緒に寝ていた日から何週間か経って、休みの都合がついたので、山神さんと二泊三日で京都に行く事になった。
京都！京都！京都！と物凄く浮かれている。
京都なんて修学旅行以来だ。

せっせと荷造りをして、用意が出来たのでリビングに荷物を持って行く。
おお、イケメンおやじがいた。
格好も初夏に合わせてか爽やかだ。
鮮やかなネイビーのジャケットが、目を引く。素直にイケメンだと思う。
でも、近づかない。
何故ならこの頃ある一定の距離を超えると心臓がバクバクして、頭がおかしくなる。
だから、なるべく近づかない。

「用意出来たの？新幹線に遅れそうだから、急ぐよ。」

と言われて、私の真横を通って行く。
うわっと避けると「ん？」という不審な顔で見られる。
私はなんでもないですという顔を向ける。

「早く！もたもたしない！」

とキツめに言われて、へーへーと心で太々しく答える。

タクシーで駅に行き、新幹線に乗って京都へ。どんどん変わる風景を楽しみながら、京都駅に着いた。
ちょっと空気が違う、盆地特有の湿気と暑さがある。じわじわと汗が出てくる。
一度旅館にチェックインをして、出かけようと駅からタクシーを拾った。
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