一円玉の恋
その後、すぐに私は山神さんによって発見された。

「なんで、ちゃんと分かってないのに軽々に散歩に出るかなぁ。なんで言わないのさ。爆睡してたから起こさなかったけど、言ってくれれば連れて出たのに。俺スマートフォンも持ってたよ。なんで電話しないの。」

と旅館までの道中責められた。

言えば一緒に散歩に出てくれたんだ。でも、そうなると、さっきの光景をもっと間近で見る事になるんだ。それも嫌だなぁ。と考える。

「なんか静かだね。なんかあったの?」

「いえ、反省しているだけです。」

「あっそ。じゃあ、旅館戻ってご飯食べたらすぐ出発するよ。」

「はい、頑張ります。」

と、朝ごはんを食べて身支度を整えてすぐ旅館を出発した。

女将さんが「今日は昨日より暑さは幾分マシにはなると思いますが、水分だけはちゃんと取って下さいね。」と声をかけてくれた。
「ありがとうございます。気を付けます。行って参ります!」と元気に返事をして旅館を出た。
山神さんには「子供か。」と言われた。

そうよ!私はまだ学生だもの。
まだ、大人になりたてだもの。
少々子供じみてても許して欲しい。
そして、大人の恋は知りたくない。
できれば、私には見せないで欲しい。
やっぱり早くマンション出たいなぁ。
これ以上いると変な気持ちに悩まされる。
今まで感じたことのない感情。
知りたくない。知らなくていい。
今出ればきっと気づかなくて済む。

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