一円玉の恋
今日は北を責めるらしい。

なんでも、山神さんは推理小説に純文学など様々なジャンルの小説を書いている。
高校の時に本格的に書き始めて、大学生の頃からは天才だとかなんとかと、引っ張りだこの売れっ子作家さんらしい。
私は知らなかったけどね…。

今回はどういう小説を書くのかは知らない。
あまり山神さんを知りたいとは思わなかった。
出会いがあまりにも最悪だったし、本当にすぐに出ていくつもりだったから余り知る努力もしなかった。
気まぐれで置いてくれたのに、今では自分が部屋を見つけるまで居ろと言ってくる。
あれから、部屋は見つけてくれたのだろうか?
山神さんのところに来て、なんだかんだと三ヶ月は経とうとしているが…。

今日も手を繋がれて引っ張りまわされる。
手汗大サービスにはならないが、それなりに身体はバクバクする。
本当にこの頃おかしい。暑いから余計にだ。
今日はできれば手を繋ぎたくないのに、「また迷子になるから」と離れても繋がれてしまう。

「お昼は涼しい所で食べよう」と山神さんに連れて来られたのは、川の上に作られた床だった。
本当に涼しい、というか寒いくらいだ。
川の流れる音といい、気持ちが安まる。
出てきた懐石料理も美味しかった。
こんなのなかなか、気軽には食べれない。

昼食を食べた後は、その近くの神社に行った。
あまり神社や仏閣に興味は無かったが、ここはなんだか雰囲気が好きだなと思う。
石階段沿いを左右に赤い灯籠が立っている。
その佇まいが素敵で思わずカメラに収めたくなる。
おみくじも変わってて面白い。
縁結びの神さまとも言われている。
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