一円玉の恋
「翠!何で杏子にそんなうっとりした顔してんのさ。」

と、今度は山神さんが不機嫌に私に言ってくる。
私は、

「だって、杏子さんすんげぇーかっこいいなぁって、美しいなぁって、大好きだなぁって思って。」

と言うと、彼がガックリ項垂れて、

「やっぱり、翠は俺より杏子なんだ…。杏子にはすぐ抱きついて離れなくなるし、めっちゃ笑顔を見せまくるし、俺は羨ましくて、羨ましくて、嫉妬の嵐なのに、クソっ。」

と、本気で悔しがる。見ていて面白い。
そして追い討ちをかける。

「そうですね。杏子さんが男の人なら、迷わず杏子さん好きになりますよ。だって本当に素敵だもん!」

と、宣言してやった。

杏子さんは、「やったー。勝った!本当翠ちゃん大好き!アンタ、男の嫉妬なんてみっともないわよ。」と言って大爆笑。山神さんは、へなへなへな〜と力尽きた。

あまりいじめると可哀想なので、とりあえず、山神さんの側に行って「好きですよ。」と囁いて、ギュッとした。山神さん復活!

「やれやれ。マジでやってられないわ。馬鹿ップルって本当困る。」

と、呆れてる。

「そうそう翠ちゃん、前にコイツをマンションまで送って行って玄関でキスしてた事あったでしょ?あの時、コイツ「翠、好きだ。」って言ってキスして来たのよね。だから、誤解しないでね。この馬鹿は最初から翠ちゃんが大好きで大好きで、大好き過ぎて大暴走したんだからね。
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