カラダから、はじまる。

「……はぁあっ⁉︎」

本宮の端正な顔立ちが、盛大に歪んだ。

「だって、お嬢サマと結婚する気があるから、お見合い後もずっと会ってるんでしょ?
それに先刻(さっき)『向こうからはいつぐらいがいいか、せっつかれてる』って言ったじゃない?」

「そういう七瀬は、どうなんだよ?
どうせ、自分は結婚なんてする気もないから、他人事(ひとごと)だと思って言ってるんだろ?」

小鉢のお新香を箸で(つま)み上げて、本宮は口の中へ放り込んだ。

「……なんで、みんな、わたしに結婚願望がないって決めつけるのかなぁ?」

わたしは首を(かし)げた。

「えっ……七瀬……結婚願望、あるのか?」

本宮が箸を持ったまま、固まった。

「失礼ねっ!……そりゃあ、二十代のときは仕事が忙しくてそれどころじゃなかったけど、三十過ぎたら、わたしだってやっぱり考えるようになるわよ。男と違って、女には子どもを持つのにもリミットがあるしね」

わたしは本宮をぎろり、と睨んだ。

「こ、子どもも……持つ気、あったんだ……?」


……だーかーらー、なんでわたしのこと、そんなふうに勝手に決めつけるのかなぁ?

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