カラダから、はじまる。

「……た、た、たいへんなのよーっ⁉︎」

そのとき、戸川が課内に飛び込んできた。
何事かと、課内中が彼女を見る。

「どうしたんだよ、戸川?」

今夜は完全徹夜(カンテツ)が「決定事項」となってしまった山岸が、(うつろ)な目を彼女に向けた。

「今、高木に用事があって、行ってきたんだけどさ……」

……田中のいる課だ。

「あの、田中さんが……」

「田中になにかあったのっ?」

わたしは反射的にデスクから立ち上がった。

「田中さんが……田中さんが……」

「田中がどうしたの?」

すると、戸川は急にトーンダウンして「えっと…その…」というばかりで、まったく要領を得なくなった。

……(らち)が明かないわ。

「山岸……ちょっと、様子を見に行ってくるわ」

そしてわたしは、PCをシャットダウンするどころかセーブもせずに、課内から廊下に出て田中の所属する課へと向かった。

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