カラダから、はじまる。

「そうですね……強いて言えば……」

高木は顎に手を添えて、しばし思案したあと、

「……『弟』みたいに思ってますね」

と、答えた。

「……お、弟ぉ⁉︎」

わたしは素っ頓狂な声で叫んだ。
顔も相当、間の抜けた形相になっているはずだ。

夜空の下のテラスは、風が出て少し肌寒くなってきたため、わたしたち以外にはだれもいなくなっていた。だから、そんな間抜けな顔も声も、だれからも見られることも聞かれることもなく、助かった。

「だって……あなた、山岸や戸川と同じ歳なんだから、うちの七海より歳下でしょ?」

「確かにそうですけど……でも、諒志さんは庁内(社内)では人造人間(サイボーグ)なんて言われてますが、ああ見えて単純なところがあって、意外と子どもっぽい態度を取ることがありますからね」

高木はこともなげに言った。

あの田中のことを……『子どもっぽい』⁉︎

わたしはくらりと目眩(めまい)がした。


……あぁ、やっぱり、恐ろしい子だわ。

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