カラダから、はじまる。

「いっ……家元おっ⁉︎」

わたしは素っ頓狂な声をあげたと同時に「彼」をぎゅっと締めてしまう。

「……ぅくっ⁉︎」

高木が苦しそうに目を瞑って、ぎりり、と奥歯を噛み締めた。

「だけど…もう……家元には…ならない……」

急に乱れた息で、絶え絶えにつぶやく。


「すべての…権利を……放棄して……
『あの家』を……飛び出して…きたから……」

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