カラダから、はじまる。

……はい?

わたしはきょとんとした顔で、すっぽりと自分を包み込んでいる高木を見上げた。

「これからは…あなたを…見るだけじゃなく……
……危なっかしくて…目が離せない……あなたのことを……僕が…守っていくから……」

その顔は相変わらず、美しい笑みを(たた)えて続けている。

「水野局長に……あなたの妹を…諒志さんの見合い相手に……勧めたのは…僕だけど……彼女のことを……人生の伴侶に…選んだのは……諒志さん自身だから……」

思わず、目を見開いて息をのんだ。

「だから、もう……いいかげんに…観念して……七瀬さん……」

……わ、わたしのこと、どこまで知ってるの⁉︎


だけど……心なしか、彼の声がせつなげに聞こえるのは気のせいだろうか?

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