カラダから、はじまる。
その写真は、母親似である妹の屈託のない大きな笑顔が印象的な一枚だった。
「あぁ、両親や周囲の人たちからかわいがられて大切に育てられてきたお嬢さんなんだな」と思わせるものだった。
だがしかし、海辺で強い潮風に吹かれため、妹のクセのあるふわっとしたセミロングの髪の毛は、無残にも渦巻くように逆立ち、ばっさばさになっていた。
よって、妹からは「速攻でデータ消去」するように「厳命」されていたはずなのに……
どうせだったら、姉妹なかよく満面の笑みで写ってる写真にすればいいのに……
それなら、妹の「ばっさばさ」もマシなのに……
(ちなみに父親似のわたしは、長いストレートの髪をポニーテールにしていたからノープロブレムだ)
そして、なにより……
たとえ七海の隣でも、せめて「わたしの笑顔」も写ってる写真を彼に見せてよ、おとうさん。