カラダから、はじまる。
「そうですね……彼女のことは学生時代から知ってるので、やはり局長がおっしゃるように、今さら恋愛感情は持てませんね」
田中の口調はきっぱりとしていた。
すっかり人造人間らしさを復活させている。
「そうだよな……そもそも、七瀬は結婚にも興味がなさそうだし、そんなに仕事がしたいのなら、私も家内も好きにやらせようって思ってるんだよ。なにも女に生まれたからと言って、結婚して子どもを産むことだけが幸せとは限らないからな」
父はさもわたしのことを理解しているかのようにしみじみと言ったが、完全に明後日の方向を見ていた。
……おとうさん、わたしがいつ「結婚に興味がない」なんて言いました?
「ところで、局長……七海さんのその写真、プリントアウトではなくてデータでいただけませんか?」