カラダから、はじまる。
Secret ♯2
……ところが。
あれから、秋が訪れ冬がやってきたが、田中と七海がお見合いすることはなかった。
「七瀬さん、『あの話』って……確か、夏頃でしたよね?」
わたしのしちめんどくさい仕事のために、いつもパシッてくれる……じゃなくて、あれこれ「動いて」くれている山岸 新が、PCでデータ入力している指を止めずにそう尋ねてきた。
山岸は以前は「国家二種」と言っていた一般職だ。ちなみに、田中や本宮の下で働く子たちもそうで、彼らは同期だった。
ノンキャリにも「学閥」というものがあって、彼らはMARCHの中でも昔から弁護士や国家公務員を輩出しているC大法学部出身だ。
彼らは司法試験にはとっとと回れ右をしたらしく、法科大学院には進むことなく学士卒で国家公務員になっていた。
「ほんと、意外ですよねぇ……なんでだろ?」
あのあと「田中が水野局長の末娘と見合いする」という情報が、瞬く間に庁内を駆け巡った。
「キー局」は本宮ではなかろうか?
……それなのに、なんで見合い話が進んでいないんだろう?