カラダから、はじまる。

確かに……田中は学生時代からすこぶるモテた。

しかも、彼から「狩猟」に出かけることなく「獲物」のオンナは自ら狩られにやってきた。
それも、みんな女優やモデル並みの綺麗なオンナばかりだった。

わたしの「黒歴史」のミスT大だって、実を言うとそういう田中に群がるオンナたちに、一泡吹かせたくて、という面があったことは否めない。

そして、田中はそんなオンナたちとまともにつき合うことなく、あくまでも性的処理(セフレ)として扱っていたのは学内(キャンパス)でも有名な話だった。

だから、オンナたちにメール一つしない放置プレイがデフォルト(あたりまえ)で、もし少しでも不満を言おうものなら、速攻で別れていた。

どんなに手を尽くしても、田中を捕まえられなかったのだろう。諦めきれないオンナが突然、場違いな派手な格好で赤門をくぐってきた。

だが、いきなり学内に押しかけて来られて、どんなに泣き叫ばれようが(すが)りつかれようが、田中は顔色一つ変えずにバッサリ切り捨て立ち去った。

そんな哀れなオンナたち(一人や二人ではなかった)を見るたびに、

……田中、アンタいつか刺されるよ?

と、何度思ったか知れやしない。

それでも田中のことを、決して嫌いにはなれない自分にも、ほとほと嫌気が差したけれども……


……なんであんなろくでもないヤツが、こんなに好きなんだろう?

< 37 / 167 >

この作品をシェア

pagetop