カラダから、はじまる。
確かに……田中は学生時代からすこぶるモテた。
しかも、彼から「狩猟」に出かけることなく「獲物」のオンナは自ら狩られにやってきた。
それも、みんな女優やモデル並みの綺麗なオンナばかりだった。
わたしの「黒歴史」のミスT大だって、実を言うとそういう田中に群がるオンナたちに、一泡吹かせたくて、という面があったことは否めない。
そして、田中はそんなオンナたちとまともにつき合うことなく、あくまでも性的処理として扱っていたのは学内でも有名な話だった。
だから、オンナたちにメール一つしない放置プレイがデフォルトで、もし少しでも不満を言おうものなら、速攻で別れていた。
どんなに手を尽くしても、田中を捕まえられなかったのだろう。諦めきれないオンナが突然、場違いな派手な格好で赤門をくぐってきた。
だが、いきなり学内に押しかけて来られて、どんなに泣き叫ばれようが縋りつかれようが、田中は顔色一つ変えずにバッサリ切り捨て立ち去った。
そんな哀れなオンナたち(一人や二人ではなかった)を見るたびに、
……田中、アンタいつか刺されるよ?
と、何度思ったか知れやしない。
それでも田中のことを、決して嫌いにはなれない自分にも、ほとほと嫌気が差したけれども……
……なんであんなろくでもないヤツが、こんなに好きなんだろう?