カラダから、はじまる。

「おとうさんの『弁慶の泣き所』は、おかあさんと七海だけじゃない……七瀬、おまえもだぞ」

父の口調は冗談めかしていたが、やっぱり目は笑っていなかった。

「もう、三十過ぎた娘になに言ってんのよ?
……わたしも忙しいから、課に戻るわ」

そう言って、わたしはふふふっと笑いながら、父の事務局長室を出た。

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