カラダから、はじまる。

そういう力は……わたしよりもむしろ、妹の方にあると思う。

子どもの頃から突拍子もないことをする子で、家族は絶えずハラハラさせられてきたが、それこそ彼女特有の咄嗟の「(ひらめ)き」という知恵でいつの間にか自力で切り抜けているのだ。


また、わたしが子どもの頃から大人びた風貌でしっかりしてそうに見えるためか、なんでも即断即決していそうだが、さにあらず。

実は、かなりの優柔不断で流されやすい性格である。だから、人生の岐路においては、選択肢の中で最もリスクの少ない無難なチョイスをしてきたに過ぎない。

よって、他人(ひと)様の「運命」を背負い込めるほど「できた人間」では決してない。


そんなわたしは、父と同じT大の文科一類へ進学し、卒業後は国家公務員一種(キャリア)試験を経て、やはり父と同じ金融庁へ進路をとった。

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