カラダから、はじまる。

「どうせ、七海にも『いつもの放置プレイ』なんでしょ?」

わたしはトリーバーチのポーチを持った手を組んで、田中を横目で睨んだ。

「一応、毎週末にはLINEを送るようにはしているけどな」

……へっ? 『LINE』? 『毎週末』って言った?

思わず組んでいた手が緩み、トリーバーチを落っことしそうになる。

「う、う……ウソでしょ⁉︎」

わたしは今、とてもT大出身者とは思えないほど、間の抜けた顔になってると思う。

ごく普通の感覚からすると、会えないどころか週末だけしか連絡してこない「見合い相手」なんて、とんでもないヤツに違いないのだが。

……なんといっても、この田中なのだ。

わたしは、天地がひっくり返ってバック転するほど驚いた。


「……そんな顔するな」

田中が口の端をほんの少し上げてふっ、と笑い、呆れた顔をした。

……普段の無表情な人造人間(サイボーグ)とのギャップが超ヤバいんですけれども。

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