波に空に君に。
とんとん
誰かがドアをノックしている。
…だれだろう、
「入ってもい?」
あ、蒼馬だ!!
ガチャとドアを開けて蒼馬が入ってきた。
「姉貴。悠さん呼んでっぞ」
「あっ、まぢ??」
姫奈さんは立ち上がった。
「悠んとこ行ってくるね、波ちゃん」
「はーい」
姫奈さんが出て行ってあたしは蒼馬とふたりきりになった。
「波斗…」
「な…なぁに??」
やば…。
蒼馬がかっこよすぎてドキドキする。
「好きだ」
蒼馬はあたしをぎゅうっと抱きしめた。
「ど…したの?」
「あした…学校だよな…」
「そーだよ」
そーだよ蒼馬。
明日は学校なんだよ。
波留や海砂や汰夏がいる学校なんだよ。
蒼馬はどーせまた明日も女の子に告られるんでしょ?
あたしそんなとこ、
見たくないのに…。
「行きたくないなあ…」
え?どおしてだろ。
「なんで??」
「波が好きだから」
あたしが好きだから?
どうして学校に行きたくないの??
「俺は波が好きなんだ。だれに何をゆわれても変わんない。
だから俺…
告られたくねーんだよ。しかも波の前で。
俺、波斗を傷付けたくない。」
「蒼馬…」
「もう俺は波斗のもんなのに、波斗だって俺のもんなのに…」