その身体に触れたら、負け ~いじわる貴公子は一途な婚約者~ *10/26番外編
フレッドはサイラスの執務室から続き部屋に入る。そこはほとんど同じ内装の部屋で、フレッドの執務室だと知れた。ところが彼はそこを通り過ぎ、さらに奥の続き部屋のドアを蹴破った。
部屋の西側には小窓が一つ。橙色の夕陽がそこから部屋に射しこんでいる。壁もファブリックも彼の瞳を思わせる明るい空色と白で統一され、床には空色の地に白で蔓草をあしらった絨毯が敷かれている。広くはないが洒落た部屋だ。その中央にしつらえられた、ベッドのリネンも。
仮眠用の部屋だと気づくまえに、彼女の背筋を震えが駆け上がる。
まさか、彼に限ってそんなこと──。
けれど無情にもフレッドは彼女をそのベッドに下ろすと、すかさず彼女の両脇に手を突き覆い被さった。
声にならない悲鳴が喉の奥から漏れる。皮膚が総毛立ち、全身が震える。
「結婚するのです。だからやめてお願い……」
フレッドの双眸が一段と鋭さを増した。これまで聞いたことのない剣呑な声で、静かに彼は返した。
「聞いたよ。だからこうしている」
その言葉に、これからされるであろうことを知ってオリヴィアは戦慄した。
部屋の西側には小窓が一つ。橙色の夕陽がそこから部屋に射しこんでいる。壁もファブリックも彼の瞳を思わせる明るい空色と白で統一され、床には空色の地に白で蔓草をあしらった絨毯が敷かれている。広くはないが洒落た部屋だ。その中央にしつらえられた、ベッドのリネンも。
仮眠用の部屋だと気づくまえに、彼女の背筋を震えが駆け上がる。
まさか、彼に限ってそんなこと──。
けれど無情にもフレッドは彼女をそのベッドに下ろすと、すかさず彼女の両脇に手を突き覆い被さった。
声にならない悲鳴が喉の奥から漏れる。皮膚が総毛立ち、全身が震える。
「結婚するのです。だからやめてお願い……」
フレッドの双眸が一段と鋭さを増した。これまで聞いたことのない剣呑な声で、静かに彼は返した。
「聞いたよ。だからこうしている」
その言葉に、これからされるであろうことを知ってオリヴィアは戦慄した。