その身体に触れたら、負け ~いじわる貴公子は一途な婚約者~ *10/26番外編
「私、あなたの相手が殿下だと知って諦めるつもりでした。辛くて、苦しかったけど……、あなたのことは過去にして、私も私で立てるようになろうってやっと決意したところだったの」
「うん」
「リリアナも応援してくれて」
「うん」
「なのに、あなたに邪魔されてしまいました」
「そうか」
「おかげで、あなたの隣でないと幸せになれそうにないことがわかってしまいました」
「今頃? きみは鈍いな。僕はとっくに知っていたよ」
フレッドが苦笑して彼女の手をくすぐる。指の股から手の甲へ、ゆったりとした動きで彼の骨ばった指が行き来する。繰り返される「うん」という言葉が、彼女を丸ごと受け止めてくれる。
自分はずっと、こうして彼にぶつけたかったのかもしれない。
彼への想いに気づいたときには会えなくなった。一人で抱えて連絡もできなかった。
だけど本当は彼にぶつけて、彼の気持ちも確認すれば良かったのだ。共にある未来を一度は求めた相手なのだから。
一人じゃない、二人で解決するべきこと。二人で越えていくこと。
「うん」
「リリアナも応援してくれて」
「うん」
「なのに、あなたに邪魔されてしまいました」
「そうか」
「おかげで、あなたの隣でないと幸せになれそうにないことがわかってしまいました」
「今頃? きみは鈍いな。僕はとっくに知っていたよ」
フレッドが苦笑して彼女の手をくすぐる。指の股から手の甲へ、ゆったりとした動きで彼の骨ばった指が行き来する。繰り返される「うん」という言葉が、彼女を丸ごと受け止めてくれる。
自分はずっと、こうして彼にぶつけたかったのかもしれない。
彼への想いに気づいたときには会えなくなった。一人で抱えて連絡もできなかった。
だけど本当は彼にぶつけて、彼の気持ちも確認すれば良かったのだ。共にある未来を一度は求めた相手なのだから。
一人じゃない、二人で解決するべきこと。二人で越えていくこと。