その身体に触れたら、負け ~いじわる貴公子は一途な婚約者~ *10/26番外編
「フレッド、さてはニヤついているな」
「そんなことはない」
「いーや、口もとが緩んでいるぞ! 婚約者に、会う時間を作ってって言われたんだもんな」
そうか、そういう意味に取られたのかと気づいて、彼女は慌てた。
「いえ、そういう意味ではなくて」
すると、今度は彼の表情が見るまにかげる。
「フレッド、お前わかりやす過ぎ」
いよいよサイラスが向かいで大笑いし、リリアナまでもが噴きだした。オリヴィアはもはやどうしてよいかわからずあたふたとしてしまった。
「サイラス、フレッド様をからかわないの。オリヴィア様、ごめんなさいね。フレッド様がこんな表情をされるのはとても珍しいことなので」
「その通りだよ。フレッドの顔色が変わるところなんて滅多に見られないぞ。それがオリヴィアの一言でこんなに赤くなるとはな。と思ったら今度は勘違いだと知ってガッカリしているときた」
「やめてくれ」
フレッドがうめく。
彼はオリヴィアに、会いたいと思われたいということなのだろうか。前に告げられた言葉も思い出してしまい、鼓動が跳ね上がった。
「オリヴィア。こんなやつだけど、フレッドをよろしく頼むよ」
不快ではない。不快ではないのだけれど……。
オリヴィアは結局、ほとんど聞き取れないほどの声で「はい」とうなずくしかなかった。フレッドが目を見開き、サイラスとリリアナがそんな二人を微笑ましく見守っていた。
「そんなことはない」
「いーや、口もとが緩んでいるぞ! 婚約者に、会う時間を作ってって言われたんだもんな」
そうか、そういう意味に取られたのかと気づいて、彼女は慌てた。
「いえ、そういう意味ではなくて」
すると、今度は彼の表情が見るまにかげる。
「フレッド、お前わかりやす過ぎ」
いよいよサイラスが向かいで大笑いし、リリアナまでもが噴きだした。オリヴィアはもはやどうしてよいかわからずあたふたとしてしまった。
「サイラス、フレッド様をからかわないの。オリヴィア様、ごめんなさいね。フレッド様がこんな表情をされるのはとても珍しいことなので」
「その通りだよ。フレッドの顔色が変わるところなんて滅多に見られないぞ。それがオリヴィアの一言でこんなに赤くなるとはな。と思ったら今度は勘違いだと知ってガッカリしているときた」
「やめてくれ」
フレッドがうめく。
彼はオリヴィアに、会いたいと思われたいということなのだろうか。前に告げられた言葉も思い出してしまい、鼓動が跳ね上がった。
「オリヴィア。こんなやつだけど、フレッドをよろしく頼むよ」
不快ではない。不快ではないのだけれど……。
オリヴィアは結局、ほとんど聞き取れないほどの声で「はい」とうなずくしかなかった。フレッドが目を見開き、サイラスとリリアナがそんな二人を微笑ましく見守っていた。