その身体に触れたら、負け ~いじわる貴公子は一途な婚約者~ *10/26番外編
「好きです……」
フレッドが笑みを深める。それなのになぜか彼女の胸を切なく刺した。
彼が初めて了解を得ずに、オリヴィアを抱き寄せる。もう不意に触れ合っても身体は強張らなかった。
「じゃあ、キスして。オリヴィア。賭けはきみの勝ちだ」
「……はい」
自分の勝ちと言われても、素直に喜べなかった。望み通りになったはずなのに。それどころか、苦しそうな彼の表情に言いようのない不安をかき立てられる。
まるで彼と会えるのは、これで最後だとでも言うような──。
オリヴィアは思いきって彼の胸に手をつき、まぶたを閉じてつま先立つ。フレッドが彼女を強く抱きすくめる。二人の吐息がまじる。重ねた唇は、ひやりとして少しかさついていた。
フレッドが笑みを深める。それなのになぜか彼女の胸を切なく刺した。
彼が初めて了解を得ずに、オリヴィアを抱き寄せる。もう不意に触れ合っても身体は強張らなかった。
「じゃあ、キスして。オリヴィア。賭けはきみの勝ちだ」
「……はい」
自分の勝ちと言われても、素直に喜べなかった。望み通りになったはずなのに。それどころか、苦しそうな彼の表情に言いようのない不安をかき立てられる。
まるで彼と会えるのは、これで最後だとでも言うような──。
オリヴィアは思いきって彼の胸に手をつき、まぶたを閉じてつま先立つ。フレッドが彼女を強く抱きすくめる。二人の吐息がまじる。重ねた唇は、ひやりとして少しかさついていた。