overdrive
「そうなの? でも……」

「ああ、分かってる。そう考えていたのは確かで、今でも頭では納得してる。だけど、感情が……」


一旦唇を結ぶが、あきらめたように吐き出した。


「俺は時々、自分が情けなくなるんだ。一生懸命仕事をする美結が好きなのに、二人の間に仕事が割り込んでくると、どうにも落ち着かない。まるで余裕がなくて、やきもちを焼いてるみたいに苛立ってしまう」

「司さん……」


彼がこんなに赤くなるなんて初めてのことで、私は思わず釘づけになる。

気まずそうに、それでもどこにも逃げることもできず、感情をさらけ出している。


「美結への気持ちは、三年経ってもなんら変わらない。それどころか、ますます強くなっている……傍にいて、分からなかった?」


散策路で手を繋ぎ、後ろから抱きしめられた感触が蘇る。
司さんはあの時、ため息をついていた。

熱い熱いため息だった。


「そうだったんですか?」

「……まったく」


今ようやく、彼がどういう感情だったのか理解した私。
あまりにも鈍すぎる。

困惑する私に、司さんは言いにくそうにして、それでも正直に語ってくれた。

私は、初めての告白を受けるみたいにドキドキしている。
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