overdrive
「最近の君は大人びて、きれいになったなと会うたび思ってる。それに、前みたいに無邪気に手を繋いだり、抱きついたりしなくなったね。俺はたぶん……それが、実は寂しかったんだ。だから君の仕事熱に妬いて、余裕を持てなくて、つい顔に出してしまう」


私は、身体の奥底から熱くなるのを感じた。
仕事に対するのとは性質の異なる、たとえようのないヒートアップだ。


「ほんと、大の男が情けないよ」


苦笑する横顔に、これまでにない彼の魅力が表れている。
私は本格的に速くなる鼓動を抑えながら、かけがえのない存在をじっと見つめた。

こんな素敵な人が、私の恋人なのだ。


「嬉しい。ありがとう、司さん!」

「ん?」


まさかという目でこちらを向き、すぐ前に戻した。私の反応が信じられないのか、今度は彼が困惑している。


「いやでも、俺は五つも年上で、ゆったりと見守ってやりたいのに」

「そんなの関係ありません」


車はいつしか周囲の流れに乗り、スピードを上げていた。

司さんは電光掲示板のカーブの予告に気が付き、オーバードライブに対応する。

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