overdrive
今年、私は26歳、司さんは31歳になる。
そろそろプロポーズされるんじゃないの? と、事務所の仲間に冷やかされるけれど、よくわからない。て言うより、こんな私をヨメにする気になるだろうか。
客観的に見れば見るほど、悲観してしまう今日この頃である。
司さんは優しいから、もしかして、我慢しているのかもしれない。いつ何時でも仕事を優先させてしまう私にあきれているのは確かで、時々ため息をつくのも知っている。
なんとかしたい、私の仕事熱。
でも、どうすればいいのかわからなくて――
建物の後ろには散策路がめぐらされ、その向こうには日本海が広がっている。
風も穏やかで、ゆったりと揺れる海面には、五月の陽光がきらきらと反射していた。
「最高の天気だな。遠出した甲斐があった」
「うん。空も海も透明で、とってもきれい!」
単純な私はさっきまで悩んでいたことも忘れ、気持ちのいい景色を前にうきうきしてきた。
「透明っていうのは美結らしい表現だね」
「そ、そうかな?」
「ああ。青でもなく緑でもなく、透き通って見えるんだろ?」
司さんは私に向き直ると、目を細めた。
出会った頃と変わらない優しい眼差しに包まれ、私はちょっと照れくさくなる。
そろそろプロポーズされるんじゃないの? と、事務所の仲間に冷やかされるけれど、よくわからない。て言うより、こんな私をヨメにする気になるだろうか。
客観的に見れば見るほど、悲観してしまう今日この頃である。
司さんは優しいから、もしかして、我慢しているのかもしれない。いつ何時でも仕事を優先させてしまう私にあきれているのは確かで、時々ため息をつくのも知っている。
なんとかしたい、私の仕事熱。
でも、どうすればいいのかわからなくて――
建物の後ろには散策路がめぐらされ、その向こうには日本海が広がっている。
風も穏やかで、ゆったりと揺れる海面には、五月の陽光がきらきらと反射していた。
「最高の天気だな。遠出した甲斐があった」
「うん。空も海も透明で、とってもきれい!」
単純な私はさっきまで悩んでいたことも忘れ、気持ちのいい景色を前にうきうきしてきた。
「透明っていうのは美結らしい表現だね」
「そ、そうかな?」
「ああ。青でもなく緑でもなく、透き通って見えるんだろ?」
司さんは私に向き直ると、目を細めた。
出会った頃と変わらない優しい眼差しに包まれ、私はちょっと照れくさくなる。