課長、サインを下さい!~溺愛申請書の受理をお願いします。

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 「心配かけてごめんなさい。」

 その日は予定していた会食が相手方の都合で延期となったので、久々に早い時間帯に帰宅することができた。

 家に着くなり、私は雄一郎さんに謝罪した。

 「謝ることなんて、何一つないだろ。」

 私の頭をポンポンと軽く叩いて、彼は優しく微笑んだ。

 「美弥子は俺のことを考えてこれまで頑張ってたんだ。感謝こそすれ、お前が謝ることなんて何もないぞ。」

 「でも私、自分が仕事を完璧にこなすことばっかりで、あなたの気持ちとかを全然考えてなかったわ…。」
 
 「美弥子…」

 「これからはもう少しゆとりを持って仕事も家事もやることにするから…」

 「俺はお前が元気で俺の側にいてくれることだけが望みなんだ。美弥子が頑張ってる姿を見るのも好きだけど、やっぱり一番好きなのはこうしてお前を腕の中に閉じ込めておくことだな。」

 雄一郎さんはそう言って私を腕の中に閉じ込めた。

 「本当言ったら仕事中もずっとこうしていられたら、俺の心も体も満たされるんだがな。」

 ニヤリと笑って私の耳元に唇を這わせ「ちゅっ」とリップ音を立てる。

 「やっ…」

 それに思わず反応して声を上げてしまう。

 「ここのところ随分とおあずけを食らったから、今夜は覚悟しておけな。」

 そう言って私の膝裏と腰に手を回してを抱き上げた彼は、そのまま寝室へと足を向ける。

 「ゆっ、雄一郎さん!夕飯まだっ!!」

 「まずは美弥子を食べたい。」

 「とりあえずシャワーをっ!!!」

 「後で一緒に浴びよう。」

 焦る私とニコニコ顔の雄一郎さんの押し問答は、ベッドに下ろされ彼の口づけが降ってきた時点で私の負けだった。

 「美弥子、愛してる。悪いが今夜は手加減できない。」

 激しい口づけで長い間私の唇を塞いでいた雄一郎さんは、私の唇を離した後、なぜか苦しげに眉を寄せてそう言った。
 
 私は口づけで乱された呼吸を少し整えるように深い息をついてから、そんな彼の瞳を見つめた。

 「私の全ては雄一郎さん、あなたのものだわ。こんな私で良かったらいくらでもどうぞ。私もあなたを愛してる。」

 心からの笑顔でそう言って、彼の唇にそっと自分の唇を重ねた。









 【了】
 
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