課長、サインを下さい!~溺愛申請書の受理をお願いします。
 課長はスッピンの私に気を遣ってくれてるだけね。

 そう気付いて、手に持っていた眼鏡を掛けなおした。

 これで少しはマシかしら……。

 マスクでもかけるべきかと考えていると、

 「眼鏡、無くても見えるのか?」

 「はい。視力はそんなに低くは無いので裸眼でもそこそこ見えるのですが、乱視が入っているので普段はかけているんです。」

 「そうか。」

 なんとなく、眼鏡をかけてから課長の挙動不審が落ち着いたような気がしたので

 「すみません。マスクもしましょうか?」

 と、ローテーブルの横にある自分の鞄をゴソゴソと漁った。
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