課長、サインを下さい!~溺愛申請書の受理をお願いします。
 「なんでマスク?風邪でも引いたのか?」

 「いえ、スッピン隠しに。」

 「なんで隠す必要があるんだ?恥ずかしいのか?」

 「確かに若干居た堪れない気分もありますが、あまり化粧を念入りにしているわけではありませんから、それほど気になりません。」

 「じゃあなんで?」

 「スッピンを他人に見せるのはものすごく久しぶりなのですが、やっぱり加齢とともにお見せするものではなくなったのかと…」

 「ん??どういうことだ?」

 「ですから、さっきはそんなことないと課長はおっしゃいましたが、やはり私のスッピンがお見苦しかったと思い。眼鏡でマシになるようですので、マスクをすればもっと良いかと…」

 そこまで話してからまた鞄の中に手を入れる。

 確か、常備しているのがあったはずだわ…

 鞄の奥の方に手を入れると

 「あった!」

 良かった、と思いながら鞄から出そうとした。

 その時
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