課長、サインを下さい!~溺愛申請書の受理をお願いします。
 「でも、そうやって仕事中の張りつめた姿ばかり見てきたから、今のお前の姿は俺にとってはまさに毒だな。」
 
 「ど、毒…?」

 まばたきすることも出来ないくらいに固まりながらも、なんとかそう聞き返した。

 「そ。武装を解いた湯上りの美弥子がこんなに危険だとは思わなかった。」

 き、危険!?
 どんどん物騒になってきていますが…

 そう思ったのに口に出せなかったのは、課長が私の頬に手を当てたから。

 「化粧してる時よりも、あどけないな。」

 それから眼鏡を顔から抜き取った。

 「キスするときにはない方がいいだろ。」

 瞼の上に課長の唇の感触が…

 ちゅっ、ちゅっ、と音を立てながら私の顔中にキスを降らせる。

 カーッと血が上って、頭から湯気が出そうだ。
 顔も体もきっと真っ赤になっている。

 そんな私にお構いなく、課長は耳元にも口づけた。

 「あ、やっ。」

 咄嗟に漏れた声を手で押さえると、意地悪そうな声で

 「耳、弱いんだな。」

 と囁かれた。
 その吐息が耳に当たって、思わず身を竦ませる。
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