課長、サインを下さい!~溺愛申請書の受理をお願いします。
 「なあ、美弥子。」
 
 「はい。」

 私たちはそのままの状態で、言葉を交わし始めた。
 課長は私の頭を撫でつつ、私は課長の心音を聞きながら。

 「お前の望む『申請書』にサインしても構わない。」

 「本当ですか?」

 思わず顔を上げようとしたが、頭を撫でる手に力が込められて、課長の胸に頬を着けてままになる。

 「本当だ。」

 「………」

 「ただし条件が二つある。」

 「条件…。」

 「ああそうだ。一つは、『信頼』。俺は元妻に『もう私の中にはあなたとの信頼関係はない。』と言われて離婚になった。俺が仕事ばかりに気を取られて家庭を顧みなかったのが悪かったんだ。でも結婚は一人でするもんじゃない。夫婦二人で協力しあって一つの家庭を作るんだ。だからお互いの『信頼関係』は欠かせないだろう?」

 「はい。」

 「あと一つ。それは、――――――」

 次の言葉をじっと待つ。
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