課長、サインを下さい!~溺愛申請書の受理をお願いします。
「男の二言、か…」
課長はそう呟いて少し考え込んだ後、おもむろに立ち上がって私の目の前に立った。
さっきまでは長椅子に座って寄りかかっていたから私よりが見下ろす形で話をしていたけど、こうして目前に立たれると、その長身が際立つ。
ちょっと気圧される気がして左足を一歩後ろに下げようとした時
彼の右手がぐいっと私の腰を引き寄せた。
勢いで課長の胸の中に飛び込む。
「っていうことは、それなりの覚悟を持って俺の所に来たってことだよな?」
切れ長の目を少し細めて意地悪そうに口の端を上げる課長に、心臓が少し跳ねる。
「ここじゃなんだから、落ち着けるところでちゃんと話を聞こうか。」
耳元で低く囁かれて、うっすらと頬が紅潮するのを感じる。
長らく忘れていたその感覚を味わうように瞳を閉じてから
「はい。」
と言って課長を見上げた。