課長、サインを下さい!~溺愛申請書の受理をお願いします。
そんな調子で仕事をしてきた金曜の夜。
先週よりも随分早く仕事を終わらせることが出来た私は、夕飯の準備をして雄一郎さんの帰りを待った。
今日のメニューは豆腐入り鶏つくね、南瓜のいとこ煮、出汁巻卵、お麩のお吸い物。それと少しだけどお刺身も買ってある。
この前の日曜日に夕飯を一緒に作って食べた時に、雄一郎さんは日本酒が好きだということを初めて知った。だから週末の今夜、日本酒に合うメニューを私なりに考えて準備した。
帰りに寄り道をして酒屋さんから買ってきた純米大吟醸が冷蔵庫の中で冷えている。
「あとは、雄一郎さんが帰ってきたら仕上げをするだけね。」
腰に手を当てて、ダイニングテーブルに並べた料理を見ながら満足げに頷いた時、玄関扉の音がした。
「ただいま。」
「おかえりなさい。」
リビングの扉を開けて入ってきた雄一郎さんに抱き寄せられてキスをかわす。
私の腰を抱いたままテーブルの上を見た雄一郎さんは「ご馳走だな」とご機嫌だ。
彼はもう一度私の唇を優しくはむように口づけてから、「着替えてくる」と言ってリビングを後にした。