課長、サインを下さい!~溺愛申請書の受理をお願いします。
 「でも、もう三年以上続けてきた事を変えたのかが気になって…。言いたくなければ言わなくてもいいんだけど…」

 黙ったままの彼に、聞いてはいけないことに踏み込んでしまったのかもと思って、私は言葉を濁した。

 「…この出汁巻すごいウマい。また作ってくれるか?」

 「ありがとう。また作るね。」

 私の問いに対する答えは返ってこなかったので「この疑問は諦めよう」そう思いながら、日本酒を口に入れたその時。

 「早く…」

 「え?」

 雄一郎さんの声が珍しく小さくて聞き取れない。
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