課長、サインを下さい!~溺愛申請書の受理をお願いします。
 「早く家に帰りたくて…」

 「え?」

 「職場でも美弥子の顔を見れるのは嬉しいんだけど、いつもみたいに触れちゃダメだろう?」

 「なっ!あ、当たり前でしょう!?」

 何を言い出すかと思えば…、思わぬ彼の発言に顔が赤くなる。
 
 「分かっちゃいるんだが、美弥子が近くに来ると抱き寄せて口づけしてそれから耳を」

 「や、やだ。続きは言わないで!」
  
 赤裸々発言を慌てて止める。私以外の誰かが聞いているわけじゃないけれど、恥ずかしいものは恥ずかしい。

 「ま、そんな欲をずっと押さえてると時々資料室にでも連れ込んでしまおうかと言う気にすらなってくる。」

 想像すらしたことのなかったことまで言われて、もはや二の句が告げられない。顔だけじゃなくて全身が赤くなっているのを自覚しながら、目をしばたかせるばかり。

 「流石にそれはまずいから、迅速に仕事を終わらせて帰宅することにした。はやく帰ってお前に触れたいからな。」

 大きな口をニカっと開いて、満面の笑みで得意げにそう言った彼を見て、私は全力で脱力した。
 
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