課長、サインを下さい!~溺愛申請書の受理をお願いします。
 きちんと髪を乾かして戻ってきた雄一郎さんと、今度は並んでソファーに座って日本酒の残りを二人で飲む。
 彼は左腕で私の腰をぴったりと引き寄せて、髪を撫でている。
 彼の肩に頭をもたれかけてそっと目を閉じると、日本酒が程よく回って気持ち良い。

 「眠たいか?美弥子。そろそろ寝るか?」

 「ん。」

 「明日は大事な日だもんな、早く寝ないとな。」

 「あした…」

 閉じていた目を開いた。

 そう、明日は土曜日。私のお見合いの日だ。

 「雄一郎さん。」

 「ん?」

 「大丈夫でしょうか?」

 不安に揺れる瞳を隠すように俯いたまま彼に尋ねる。

 「ああ、大丈夫だ。俺に任せて。美弥子は俺のことをただ信じていてほしい。」

 私の旋毛に口づけて、大きな手で髪を梳くように撫でる。

 「うん。雄一郎さんを信じる。」
 
 顔を上げて彼の瞳をしっかり見つめた。

 彼は優しく微笑んでそのまま私の唇にキスを降らせた。
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