課長、サインを下さい!~溺愛申請書の受理をお願いします。
お見合い相手との待ち合わせの時間の三十分前に私の両親と待ち合わせていた。
懐石レストランの入口で予約の名前を告げると、両親は先に着いているようだ。
仲居さんに連れられて、個室の前に着く。
「失礼します。お連れ様が到着されました。」
スッと襖を開けると、そこには久しぶりに見る両親の顔があった。
「美弥子、早いな…」
と言いながら父はすぐに私の後ろに立つ雄一郎さんに気付いて、表情を硬くした。
「そちらはどなたなんだ、美弥子。」
お見合いの席に他の男性を連れてくるなんて非常識な行動を取った私を非難するような目つきだ。
父の隣に座る母は驚きすぎて声が出ないようで、とにかく目を丸くしている。
「お父さん、こちらは、」
私が雄一郎さんのことを紹介しようと口を開くと、それまで私の後ろに立っていた彼が、私の隣にスっと立った。
彼を見上げると、私を見て頷いてから、
「東野雄一郎、と申します。美弥子さんと同じ職場で仕事をしております。この度は前以てご連絡もせず、いきなりこのような場に押し掛けてしまい、申し訳ありません。ですが、お二人に至急のお願いがあって参りました。」
そこまでで一度言葉を切った雄一郎さんは、おもむろに腰を九十度に折り、二人に向かって頭を下げた。
「どうか、私と美弥子さんの結婚を許してください。お願いします。」
そう言って頭を下げ続ける彼に習って、私も隣で頭を下げる。
「お父さん、お母さん、お願いします。」
懐石レストランの入口で予約の名前を告げると、両親は先に着いているようだ。
仲居さんに連れられて、個室の前に着く。
「失礼します。お連れ様が到着されました。」
スッと襖を開けると、そこには久しぶりに見る両親の顔があった。
「美弥子、早いな…」
と言いながら父はすぐに私の後ろに立つ雄一郎さんに気付いて、表情を硬くした。
「そちらはどなたなんだ、美弥子。」
お見合いの席に他の男性を連れてくるなんて非常識な行動を取った私を非難するような目つきだ。
父の隣に座る母は驚きすぎて声が出ないようで、とにかく目を丸くしている。
「お父さん、こちらは、」
私が雄一郎さんのことを紹介しようと口を開くと、それまで私の後ろに立っていた彼が、私の隣にスっと立った。
彼を見上げると、私を見て頷いてから、
「東野雄一郎、と申します。美弥子さんと同じ職場で仕事をしております。この度は前以てご連絡もせず、いきなりこのような場に押し掛けてしまい、申し訳ありません。ですが、お二人に至急のお願いがあって参りました。」
そこまでで一度言葉を切った雄一郎さんは、おもむろに腰を九十度に折り、二人に向かって頭を下げた。
「どうか、私と美弥子さんの結婚を許してください。お願いします。」
そう言って頭を下げ続ける彼に習って、私も隣で頭を下げる。
「お父さん、お母さん、お願いします。」