課長、サインを下さい!~溺愛申請書の受理をお願いします。

 目の座った私。オロオロする雄一郎さん。そしてそれを見て愉快そうに笑う副社長。
 
 副社長室の応接セットをそんな三人で囲んでいる。
 私と雄一郎さんは三人掛けのソファーに横並びに、副社長は一人がけの方に。
 目の前のテーブルには副社長が入れてくれたコーヒーがある。
 今日は「私用」でここにいるので、秘書の方はお休みだということだ。

 「美弥子、すまん。今日ここでこいつに証人欄に署名を貰って家に帰ったらきちんと説明するつもりだったんだ。」

 「……。」

 「ちょっと長くなるけど、聞いてくれるか?」

 「……分かりました。」

 静かにそう言った私に雄一郎さんは安堵の表情を浮かべて話し出した。
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