課長、サインを下さい!~溺愛申請書の受理をお願いします。
9. 二人で歩き出す未来
完成された婚姻届は、もう一週待ってクリスマスの日に提出することにした。
そしてそのクリスマスの前夜、いわゆるクリスマスイブの夜。
私たちはホテルのレストランのディナーに来ていた。
「すごい!キレイ!!」
案内された席に着くと、横は一面のガラス張りで眼下にはまばゆいばかりの夜景が広がっている。
「気に入って貰えて良かった。」
「ありがとう、雄一郎さん。」
「どういたしまして。美弥子は高くて景色の良いところが好きだからな。」
「ひとを猫みたいに言わないで。」
ちょっと上目使いで彼を睨んでみるけれど、すぐに二人で笑い合う。
「でも、本当にありがとう。イブの夜にこんなに素敵な所に来れるなんて思ってもみなかった。すごく嬉しい。」
ちょっぴり照れくさくて、まだ「乾杯」もしてないのに頬が赤らんでくる。
そんな私の頬を愛おしそうに撫でた雄一郎さんは、
「美弥子が喜んでくれるのが俺は一番嬉しいよ。」
とご機嫌だ。
シャンパンで乾杯をした後、運ばれてきたコース料理に舌鼓を打つ。
お料理はどれも絶品で、見た目も美しく、夜景を見つめるのも忘れて、運ばれてくる料理を味わった。
お腹がいっぱいになってアルコールも程よく回った私は、少し眠たくなってきた。
「美弥子、出ようか。」
雄一郎さんは、立ち上がって私の手を引いてレストランを出た。