課長、サインを下さい！～溺愛申請書の受理をお願いします。

　「こ、ここっ！」

　ホテルとは思えないくらいの広い空間に、目を見開いた。
　私たちが足を踏み入れた部屋には大きなダイニングテーブルやソファーセットが窓側に並んでいる。部屋の中には他の部屋へのドアがある。
　そして何より私の目を釘づけにして離さないのは、窓の向こうに見える眩いほどの夜景だ。
　天井から床までの大きな窓が何面にも繋がっていて、その大パノラマの向こうにその夜景がどこまでも広がっている。　
　
　「気に入ってもらえた？」

　雄一郎さんが私を後ろからそっと包み込む。

　「はい。とっても素敵。」

　体ごと振り向いて、彼の大きな胸に顔を摺り寄せた。

　「くっ、、ホント美弥子は猫みたいだな。」

　目を細めて微笑む彼は、両腕の中に納まっている私の額に口付ける。
　柔らかい感触にうっとりと目を閉じと、今度は唇にその柔らかさを感じた。
　
　啄ばむようなキスの後、お互いの唇にの隙間を埋めるように重ね合わせる。
　しばらく唇の感触を確かめるようにしっとりと合わせるだけだった彼の口づけは、息継ぎのタイミングを見計らって激しくなる。彼の舌が私の唇を割って入ってきて、次第に激しなった。彼の動きに身を委ねると、この二週間で私の弱点をすっかり押さえた彼の口づけは、私をトロトロに溶かしてしまう。