課長、サインを下さい!~溺愛申請書の受理をお願いします。
 私の体の力がすっかり抜けきったのを見計らって、雄一郎さんは私を抱き上げた。
 そのまま寝室の方へと運ばれる。

 キングサイズのベッドに私を優しく横たわらせた彼は、触れるだけの優しいキスをくれる。
  私の左手の薬指に愛おしそうに口づけて、そこにスルッと銀色の輪を通した。

 「雄一郎さん、これ…」

 私の左手の薬指には眩いほど輝くダイヤモンドのついた指輪が。
 センターの大粒のダイアの周りを小さなダイヤがグルリと囲む。指を通しているアームにも小粒のダイアがならんでいた。

 「美弥子、愛してる。俺の奥さんになって一生そばにいてほしい。」

 濡れたように光る彼の瞳に囚われる。
 返事をするより早く、私の瞳から次々と涙がこぼれ落ちていった。

 「雄一郎さん。私もあなたを愛してる。これからずっと誰よりそばに居させて。」

 幾つも幾つも滴が頬を伝っていくけど、それすらも彼からもらった宝物みたいで、私はそれを拭うことすらせずに微笑んだ。
 
 雄一郎さんは、私の答えに心底幸せそうに微笑んでから、私の涙を指でそっと拭った。
 彼が拭いた頬も次々に落ちる涙で乾く暇がない。愛おしそうに頬を撫でながら、私の目元の涙を吸い取っていく。

 宝物を守るみたいにそっと大事に触れられて、私は彼の愛に包まれて幸せな聖夜を過ごした。




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