君にもう一度会うために。

時刻は10時。
いつも私たちはこの時間に約束をすることが多かった。
場所はいつも決まって、地元の駅前。
東京と違い人が溢れている訳ではなく、静かで、いつも目印にしているパン屋さんの前が定番だった。

彼はいつも寝過ごしたと言いながら遅れてくるのもまた、定番だった。
私は、コーヒーの飲みながら店内のカウンター席に座り、好きなモデルさんのブログを見て待っていた。

服を見るのはいつだって楽しい。
女の子は服装でここまで輝けるって考えるとより一層、テンションが上がった。

今日はスカイブルー色のスカートに、上は白のブラウス。
ブラウスには、袖のところにフリルが付いていて、少し遊び心もあり、私の一番お気に入りファッションだ。

彼は、喜んでくれるかな？？

そんなことを考えていると、携帯がブルっと震えた。
彼からのメッセージだった。

【もうすぐ着くよ(´；ω；`)】

彼らしい言葉に私は少し吹き出した。

一応悪いとは思っているのね。
どうしていつも顔文字入りなのだろう。

くすっともう一度笑い、私は足早に店を出た。

外に出ると、はっとした顔をしながらこちらに駆け寄り、彼はいつも通り手を合わせて頭を下げる。

「ごめん！！また遅れちゃった・・・。」

顔を中途半端に上げ、子犬のような目で私を見上げながら謝る。

「大丈夫よ。」

そして彼の頭を軽く撫で自然と手を繋ぐ。

「今日はどこ行く予定なの？」

話しかけながら自然と歩き出す。
向かっている方向は商店街の方だ。

「そうだなー・・・。」

んーと空を見上げるように考える。
頭の中をフル回転させているようだった。
そんな仕草さえ可愛く思える。

「あっ！！」

ふと思い出したかのように、声をあげ頭をコツンっとぶつける。

私はてっきり忘れ物でもしたのかと思いどうしたの？と問いかけた。
彼はコロッと表情を変え、ニカッと笑った。

「今日の服装初めてのデートの時と同じだね。とても似合っているよ♪」

何を思いだしたのかと思えば私の服装だった。
私は気づいてくれた嬉しさを隠しきれず、つられて笑いながら有難うと伝えた。

「よし！ならゲーセンにでも行こうか！」

目をキラキラ輝かせながら子供のようにはしゃぐ彼。
とても可愛らしい。