君にもう一度会うために。
通り過ぎる街並みを見渡すとふと思いかえる彼との思い出。
どれだけの日々を、過ごしたのだろう。
沢山の思い出を残してくれたのだろう。

そんなことを思いながら、連れてこられたのは、地元にある神社だった。

ここは・・・。

「いこう?」

彼は私の手を再度強く握り、手を引かれるままに階段を上った。

ここの神社は地元の人しか知らない場所。
山に囲まれていて、神社自体も小さく普段は人が全くこないといってもいいくらい静かな場所だ。

そしてここにはある秘密がある。
階段を登り切った先にある小さな鳥居の後ろにわかりづらいけど、小道が広がっている。
そこをくぐりぬけた先には。

「ついたよ。」

そう。
ここには夕日がきれいに見える絶景スポットがある。
本当にごくわずかな人しか知らない場所。

そしてここは。

「俺らが初めてのデートの時に来たのも、ここだったな。」

彼は夕日に照らされながら、真っすぐにこちらをみて話し出した。

そう、ここは私たちの一番の思い出の場所。
そして、初めてキスを交わした場所。


私は込み上げる涙を抑えきれず、頬を伝う涙と共に彼を真っすぐに見た。

あぁ・・・。
終わってしまう。
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