国王陛下の庇護欲を煽ったら、愛され王妃になりました
兄妹で笑いあったあと、ヴィリヨは自室へ戻り、ノエリアはダイニングへ向かった。そして、マリエと朝食を済ませた。そして、マリエはすぐに身支度を整えて戻り、待機していた。ノエリアはマリエに荷物を渡しながら、説明をする。リウもそのうち準備をしてここへ来るだろう。
「マリエ、せっかく村へ行くのだから、薬局へ少量だけでも納品して、売上を受け取ってきて。それでなにか力のつく食べ物を買ってきてくれる?」
出立のとき、リウに少し時間を貰えるかお願いをしてみよう。ゆっくりしている暇は無いけれど。
「包帯はまだ大丈夫ですか?」
「薬局にお願いして、少し分けて貰って。ご主人に宜しく伝えてね」
「承知しました。お任せください」
マリエは力こぶを叩いて見せた。力勝負ではないのだが。
普段、包帯など使わないからもう在庫が無い。村の薬局の主人はいつもよくしてくれるから、安く交渉できるとありがたい。そこはマリエの手腕だ。
「マリエ殿。お待たせしました」
そこへリウが姿を見せる。身支度が整ったらしい。
「馬は馬小屋から玄関に連れて来てある。マリエ殿の準備がよければ、出発しょう」
「わたくしは大丈夫です。参りましょう」
リウとマリエが玄関へ向かうのに、ノエリアはついていった。
昨日の嵐と打って変わって晴れ渡っている。風も気持ちよく、気温も心地よい。これなら雨に濡れた地表も乾くだろう。
リウが連れて来ていた馬は、葦毛で、少々汚れてはいたが毛並みもよく大きかった。そして美しい。
「名前はぺルラ。陛下の馬なのです」
ぺルラは、睫毛が長く、可愛らしい目をしていた。
「ご主人を守ったのね。偉いわね」
鼻を撫でてやると、気持ちよさそうに瞬きをした。ノエリアもふっと微笑む。
(可愛い。気性の穏やかな馬なのね。可愛がられているからかしら)
ノエリアの脳裏に、シエルの顔が浮かんだ。
マリエは荷物を背負い、準備が整った。ノエリアはリウに声をかける。
「リウ様、お願いのあるのですが」
「なんだろうか」
「郵便屋に会い、リウ様の御用が済んでから少しでいいので、買い物をするお時間をマリエに与えてはいただけないしょうか」
リウは、ノエリアの言葉に頷く。
「もちろん。マリエ殿にお供しよう」
「そんな、お供だなんて」
マリエが恐縮している。リウは笑って「荷物を持ちましょう」と言ってくれた。
「ありがとうございます。わたしたちは、村にそう何度も行けない生活を送っているので、せっかく行くのだから、陛下とリウ様に美味しいものを召し上がっていただきたいのです」
「買い物のお時間は儲けます。ですが、気持ちだけ頂戴しましょう。俺たちのために無理に特別な食材を買い込む必要はありませんよ」
「ええ、心ばかりなのですが……」
リウはマリエを先に乗せ、彼女の前に乗った。女性としては大柄のマリエも、背が高くしっかりした体格のリウには敵わない。だからこそ安心して任せられるのだが。
「しっかり掴まっていてください。落ちないよう」
「マリエ、お願いね。リウ様、村への道はぬかるみもあるかもしれません。お気をつけて」
リウは頷き、マリエはノエリアに手を振った。
ふたりと馬のぺルラが木々の間に消えていくのを見送って、ノエリアは屋敷に戻った。
「マリエ、せっかく村へ行くのだから、薬局へ少量だけでも納品して、売上を受け取ってきて。それでなにか力のつく食べ物を買ってきてくれる?」
出立のとき、リウに少し時間を貰えるかお願いをしてみよう。ゆっくりしている暇は無いけれど。
「包帯はまだ大丈夫ですか?」
「薬局にお願いして、少し分けて貰って。ご主人に宜しく伝えてね」
「承知しました。お任せください」
マリエは力こぶを叩いて見せた。力勝負ではないのだが。
普段、包帯など使わないからもう在庫が無い。村の薬局の主人はいつもよくしてくれるから、安く交渉できるとありがたい。そこはマリエの手腕だ。
「マリエ殿。お待たせしました」
そこへリウが姿を見せる。身支度が整ったらしい。
「馬は馬小屋から玄関に連れて来てある。マリエ殿の準備がよければ、出発しょう」
「わたくしは大丈夫です。参りましょう」
リウとマリエが玄関へ向かうのに、ノエリアはついていった。
昨日の嵐と打って変わって晴れ渡っている。風も気持ちよく、気温も心地よい。これなら雨に濡れた地表も乾くだろう。
リウが連れて来ていた馬は、葦毛で、少々汚れてはいたが毛並みもよく大きかった。そして美しい。
「名前はぺルラ。陛下の馬なのです」
ぺルラは、睫毛が長く、可愛らしい目をしていた。
「ご主人を守ったのね。偉いわね」
鼻を撫でてやると、気持ちよさそうに瞬きをした。ノエリアもふっと微笑む。
(可愛い。気性の穏やかな馬なのね。可愛がられているからかしら)
ノエリアの脳裏に、シエルの顔が浮かんだ。
マリエは荷物を背負い、準備が整った。ノエリアはリウに声をかける。
「リウ様、お願いのあるのですが」
「なんだろうか」
「郵便屋に会い、リウ様の御用が済んでから少しでいいので、買い物をするお時間をマリエに与えてはいただけないしょうか」
リウは、ノエリアの言葉に頷く。
「もちろん。マリエ殿にお供しよう」
「そんな、お供だなんて」
マリエが恐縮している。リウは笑って「荷物を持ちましょう」と言ってくれた。
「ありがとうございます。わたしたちは、村にそう何度も行けない生活を送っているので、せっかく行くのだから、陛下とリウ様に美味しいものを召し上がっていただきたいのです」
「買い物のお時間は儲けます。ですが、気持ちだけ頂戴しましょう。俺たちのために無理に特別な食材を買い込む必要はありませんよ」
「ええ、心ばかりなのですが……」
リウはマリエを先に乗せ、彼女の前に乗った。女性としては大柄のマリエも、背が高くしっかりした体格のリウには敵わない。だからこそ安心して任せられるのだが。
「しっかり掴まっていてください。落ちないよう」
「マリエ、お願いね。リウ様、村への道はぬかるみもあるかもしれません。お気をつけて」
リウは頷き、マリエはノエリアに手を振った。
ふたりと馬のぺルラが木々の間に消えていくのを見送って、ノエリアは屋敷に戻った。