脱出可能枠は一つだけ
「お、美味しそーなもん持ってんな!俺にもくれー」

あたしの手の中にあるビターチョコが視界に入ったらしい。目をキラキラと輝かせながら私に言ってくる

「別にいいよ。はい」

チョコレートを差し出すと、「サンキュー」と言って受け取った

「途中で後輩に見つかるかと思ったぜ」

「見つかんなかった?」

「ギリ。その後輩、視力悪い上にメガネかけてなかったからな」

自分の椅子に座り、くつろぐ

他にも、ゾロゾロと女子の集団が来た

そして、男子の集団

それからちらほらと現れ、全員が集合

「よっし、全員揃ったな」

智也が満足そうにうなずく

只今の時刻、七時三十分

「それじゃあ、0時になるまで説明始めるぞー。あんま大きい声出せねぇから前によってくれ」

智也が教卓の前にたち、声をかける

生徒達はゾロゾロと移動した。もちろん、音はあまり立てずにね?

「まず、カミサマ鬼ごっこってのはな・・・・・・」

智也の話が意外に長かったのでまとめると

・カミサマ鬼ごっこは、参加者が鬼から逃げる単純明快なもの

・ただし、三十分に一回、カミサマのお告げを聞き、それを実行しなければならない

・鬼に捕まった時点でゲームオーバー

・お告げは放送から流れる

大雑把に言うと、こんな感じかなあ?

「お告げって・・・・・・一体誰が放送するのよ」

愛佳がイライラしたように聞いた。多分、大雑把すぎてわからなかったんだろう

「さあな。ただ、このゲームはやった事ある奴いるらしいから、成立するにはするらしいぜ」

あっけからんと言う智也に、愛佳はため息をついた

「へぇ・・・・・・」

面白そうといえば、そうなんだけど。

やっぱり、引っかかるよねぇ・・・・・・
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