脱出可能枠は一つだけ

深夜の放送

チッチッチッチッ・・・・・・

小さく、時計の秒針が進む音だけが聞こえる

あたしたちは全員、教室の机を後ろに押しやり、教室の中心に丸を描くように立っていた

もうすぐ、日が変わる

その瞬間に、唱え終わらなければならない

いちど、その呪文とやらを唱えてみたところ、ジャスト六秒

つまり、六秒前に唱え始める

10 9 8 7・・・・・・

「行くぞ」

6!

『カミサマ鬼ごっこ参加者皐月中学2年A組生徒男女20名!』

これほどまでにないほど、早口で

叫んだ。その瞬間

『ガガッ・・・・・・ザザッ・・・・・・』

スピーカーから、音が流れた

「え・・・・・・」

クラス全員が呆然とする中、何故か華ちゃんだけは

冷静だ

すご・・・・・・

『ザザッ・・・・・・・ザザ』

ノイズ音が続く中

衝撃の事件が起きた

タッタッタッタッ・・・・・・

「ね、ねぇ。足音、聞こえない・・・・・・?」

聖歌の言葉に、みんなの意識が廊下に集中した

タッタッタッタッ・・・・・・

「聞こえる」

ポツリと、美結が言う

背中に、嫌な汗が流れた

そして、フラーっと華ちゃんが教室のドアに近づいていく

「は、華ちゃん!危ないよっ」

でもあたしは

彼女を引き止めることが出来なかった

怖いのだ

あの足音の主が分からないから

タッタッタッタッ・・・・・・タタ

「止まった・・・・・・?」

止まった

でも、安心できない

その足音は



あたし達の教室の前で止まったのだ

カラカラカラ・・・・・・

ドアの扉がするすると開いていく。そこには

ちょこんと、小さな女の子が立っていた

見かけは幼稚園・・・・・・ううん、それよりも少し大きいくらい。小学生一年生くらいだ
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